【くるり】2nd.『図鑑』アルバムレビュー

今回はくるり『図鑑』の記事です。

 

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印象

頭おかしい。

何から書いていいか分からない(笑)。

全体としては、色んな曲が入っているという印象。

一曲一曲が変わり種なだけでなく、一つの曲のなかに複数の曲が詰め込まれてるような感じすらする。

静かな曲の後に突然激しい曲が始まったりして(1→2、10→11)、

乱暴さ、狂気まで感じる。

 

 

①複雑な展開の曲

目まぐるしく展開が変わる曲は、

3「青い空」

「窓」

12「ロシアのルーレット」

イントロのギターフレーズからは予測不可能なAメロやサビ。

これがくるりの特徴の一つでもあるのかもしれない。でもこのアルバムには特に多く入っている気がします。

 

 

サイケデリック

ギターにディレイが入っていてサイケデリックな曲もあります。

2「マーチ」

12「ロシアのルーレット」のギター。

 

 

エスニック

エスニックなテイストが入っている曲も印象的。民謡みたいなかんじ。

12「ロシア」

14「ガロン - ガローンミックス」

15「宿はなし」

14と15は沖縄テイストを感じる。特に15「宿」はビギンみたいな感じ。

 

 

④インスト

インスト曲が素晴らしい。

5「惑星づくり」

9「ABULA」

5はレディオヘッドみたい。5がレディヘだったら9はDownyっぽいかな。

 

背景

Wikipediaによると、アルバム制作当時はメンバーの関係が悪かったようです。

特にボーカルの岸田さんとドラムの森さんの仲が悪く、

*1こちらの方によれば、15曲中5曲はサポートドラマーが叩いているようです。

 

そう言われると、こんな意味不明なくらい狂った雰囲気にも納得です。

 

また、プロデューサーには5曲にジム・オルークという人が参加しているようですが、

この人についてと、この人が参加したことによってどこがどう変化したのかはよくわからん。

 

 

一曲ずつ順番に書きます。

 

1「イントロ」

前作『さよならストレンジャー』に収録の「虹」から始まると思ったら、

いきなりオーケストラみたいなのに変わる。

不安をあおるような曲調。

 

2「マーチ」

不安な「イントロ」からいきなり元気になる。狂ってる。

と思ったらゆっくりになって、サイケデリックなディレイのかかったギター。

6分の8拍子(?)です。

 

3「青い空」

けっこうロックな印象。ハードコアっぽいギターから始まり、

Aメロはハッピー。

サビはそれの混ざったやつみたいな?(語彙力)

アウトロはチャイニーズで、上海蟹に通ずるところもある。

 

4「ミレニアム」

ミドルテンポの曲。

ベースのイントロでロック調?と思えば、Aメロに入るとアコギが入ってきて拍子抜けする。木琴も入ってくる。くるりらしい感じもする。

 

5「惑星づくり」

めっちゃいい。

インスト曲(歌がない)なのですが、電子音、ディレイのかかったギター、ベースがしっかりしてて、左右にパン振りされた別々のドラム。

 

曲展開も途中で2つくらい違うフレーズがはいっていて、飽きさせない作り。

楽器も色んなギター、シタール(?)のような音色、パーカッションなどが途中に織り込まれていてとてもおもしろいです。

 

宇宙的な世界観です。レディオヘッドっぽい。

 

くるりの持つ広い音楽性が確認できます。

またこれをトラック5に持ってくるのもなんだかすごい。

 

6「窓」

ツェッペリンの「天国への階段」を思わせるようなクリーントーンアルペジオと、

くるりにしてはかなりハードなフレーズのミルフィーユから始まります。

 

歌いだしもツェッペリン・テイストを感じる。

 

途中でアップテンポになるところも予想できない。

 

7「チアノーゼ」

こちらもドライブを効かせたギターロック。

ドラムのイントロは「完全感覚Dreamer」みたいだと思いました。

 

また単調な歌い方は「風待ちロマン」味を感じた。

(後で確認したら、どっちもそこまで似てなかった…)

 

8「ピアノガール」

ピアノの弾き語り曲です。落ち着いた曲で、やっと落ち着ける…って感じ。

余計なサウンドが無い分くるりのポップソング感が久しぶりに聞けます。

 

9「ABULA」

インスト曲。不規則なドラムが続く。

これも5「惑星づくり」と同じ雰囲気ですが、よりエフェクトが強くて退廃的。

「惑星づくり」がレディヘだとしたら、こっちはDownyかな。

 

10「屏風浦

落ち着いた曲調。アコギのアルペジオですが、空白の使い方がうまいなと思う。

 

11「街」

8、9、10と落ち着いていたのに、いきなり「このーーーー」と、歌いだしでびっくり。

ゆっくりなぶん歌の激しさが伝わってくる。

 

12「ロシアのルーレット」

たぶんこのアルバムで一番意味わかんない(笑)。

5分弱の曲の中にいろいろな要素がぎゅうぎゅう詰めになってる。

サイケ、アメリカンな感じ、テンポアップ、オペラと民謡みたいなテイスト。

アウトロは完全に頭おかしい。

 

13「ホームラン」

いきなりシャバダバダで!!っとなる。マジで頭おかしい。

 

14「ガロン - ガロ~ンミックス」

これも狂ってるなあ。こちらは特に歌い方が特に。

電子音、逆再生、サウンドエフェクトが多用されています。

9:30もある長いトラックなんですが、結構聞けます。

 

スーパーカーのナカコウさんがリミックスを担当したらしいです。*2

くるりスーパーカーは、ナンバガとともに97の世代と呼ばれるらしく、

「ばらの花」といい、スーパーカーとは交友があるようですね。

 

15「宿はなし」

こちらも民謡的な雰囲気がある。ビギンみたいな。

 

 

総評

かなり狂ったアルバムですが、面白いところも満載です。