【くるり】「さよならストレンジャー」「東京」【アルバムレビュー】
今日はくるりの「さよならストレンジャー」をレビューします。
1999年のメジャーファーストアルバムです。
印象
アマゾンの評価コメントに、地味という表現がありましたが、
確かにそうだと思います。
地味というか、こういう系のロックはやはりシングル曲が良くて、
ほかがパッとしないという印象になってしまうのかも。
先日くるりの「TEAM ROCK」を聞きましたが、同じ印象でした。
「TEAM ROCK」はエレクトロサウンドがたくさん使われていたのに対し、
この「さよならストレンジャー」はファーストということもあり、
ギター中心のロックになっています。
実験性
しかしこの頃から実験的な曲が収録されています。
トラック5の「ハワイ・サーティーン」ではスプーンの音や紙を破く音が入っていて、
インスト曲ですが面白いなと思います。(次の「東京」につなぐ役割も?)
スプーンと言えばサウンドガーデンの「Spoon Man」を想い出します。
紙を破く音は耳がこそばゆくて、ASMRが苦手な人はくすぐったくなってしまうと思います(笑)。
またトラック8の「葡萄園」は逆再生の曲だそうです。
歌詞
東京に出てきた学生が、故郷や故郷にいる「君」を想い出す、という内容が多い印象でした。そのまま当時の彼らの心境につながるのかな。
1999年のアルバムで、ボーカルの岸田さんは当時20代前半、ということになります。
歌詞も含めてじっくり味わうと、何度も聞きたくなるアルバムかもしれません。
曲
ギターリフがかっこいい曲は、
3「オールドタイマー」
7「トランスファー」
11「傘」など。
3はアップテンポな電車の曲。ほんとに岸田さんは電車好きですね。
7はイントロのギターがロック調でかっこいいのに、Aメロに入るとフォーク(?)になって、個人的にちょっと残念でしたが。
この曲や9「7月の夜」はイントロからは展開が予想できないサビですね。
11は16ビートで入ってサビは8ビートになります。静から動の構成はグランジ/オルタナっぽくもある。
1「ランチ」、2「虹」、4「さよならストレンジャー」と、3拍子の曲も多く入っており、自由度が高いなと思いました。
アルバムのラスト曲、12の「ブルース」は曲調が悲しく、歌詞もパーソナルで暗く、鬱っぽい曲です。
ただ、この曲の最後に1の「ランチ」の続きが入っています。
ネットで見るまで気づかなかったです。
「ランチ」が入っていることで、重たい空気から安心してアルバムが終わります。
感情が溢れてしまったけど、それが収まって、また諦めの日常に戻る、そんな感覚になりました。
日常というイメージは、最後に子供の声が入っているからかもしれない。
6「東京」について
このアルバムの大目玉のこの曲。「東京の街に出てきました」という歌いだしから始まるくるりを代表する曲です。
ただ聞くだけでもとても良いのですが、トリックがあってさらにいい曲になっていると思います。
まず、印象的でエモーショナルなイントロのギターフレーズです。曲中で何回も出てきます。
これ、ずっと同じリズムでただのストロークでもよかったと思うんですが、カッティングが入っていることで変化がついてより印象的になっていると思います。
また、途中途中で空白(楽器が何もなっていないところ)があり、緊張感が出ていてとても良いと思います。3回ありました。0:12、1:53、3:55に入っています。
次に、2番のサビの直前に、レディオヘッドの「クリープ」みたいな、グゴッという歪んだブラッシング音が入っていたり、(3:18ぐらい)
2番のサビ前のギターフレーズの途中で、ギターだけがグイーンと鳴るところがあったり(3:34)と、聞いていて飽きさせない工夫がたくさんあります。
チッチッチッチッと鳴っているハットも、たまにチッチッチチチーとなって面白い。
0:53くらいで”グゴッ”が聞けます。
フルバージョンではないのですが、PVも大好きなので載せておきます。
この懐かしい感じ本当に好きです。
【参考にしたサイト】
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