【本の紹介】「論理力」を小学校の国語教科書から学ぶ
こんにちは。
みなさんは「論理的である」ってどういうことかわかりますか?
「論理的思考力が重要だ」などとよく聞きますが、何となくあいまいで分かりずらいですよね。
今回紹介する本、『論理力は小学校6年間の国語で強くなる』は、タイトル通り、中学受験塾の講師である筆者が、小学校の国語で学ぶ「論理力」を丁寧にわかりやすく解説したもの。本の中では、論理的思考のプロセスを示した後、小学校の国語教科書にのっている問題が例として取り上げられ、ビジネスマンにも通ずる論理力として説明されています。
- 論理的であるとはどういうことか
- 論理的に考え伝えるための流れ
- 論理的に伝えるにはどうすればいいか
などがこの本からわかります。
著者:小川大介
1973年生まれ、京大法学部卒
中学受験塾講師の方らしいです。受験国語の指導で最難関の灘中コースを担当したり、難関中学合格者を8000人以上出したり、ということがプロフィールに載っています。複数著作があり、ほかにもテレビ、ラジオ、雑誌等での解説・評論、企業への研修・指導技術の提供も行っているそうです。小学生向けの教育者の方が企業への技術提供も行っているというのがすごいですね。
もくじ
論理力とは
筆者は本文中で、
「論理力を簡単に言えば、他人から「なぜ?」「どうして?」「どこからその話がでてきたの?」「腑に落ちないよ」というような突っ込みを入れられずに、自分の話を聞き入れてもらえるかどうかという力です。」
と定義しています。
小学校の国語の教科書は、この力を養うようにできており、まさに論理力をつけるためのテキストとなっています。
国語で身につくのは、
「把握」=情報を収集し、整理する力
「思考」=情報をもとに考える力
「伝達」=適切に表現する(コミュニケーション)力
の3つであり、これは論理的思考のプロセスにほかなりません。
以下この3つを本書に沿って簡単に紹介します。
把握
第一ステップの「把握」とは、情報の収集・整理のことです。
把握の流れは以下の3つ。
方針決定
目的を明らかにする。「何を解決したいのか」「何のために調べるのか」「どのように活用するのか」など。
↓
情報収集
「何を」・「どこから」探すのか、「現在手元にどんな情報があるのか」をはっきりさせ、情報を集める。その際、情報が信頼できるか、いつの情報か、に注意する。
↓
情報整理
集めた情報をグラフや表にまとめ、一定の傾向を読み取り(=抽象化し、)全体をとらえる。
その際、情報を具体と抽象で行き来させることが重要
①抽象化された情報から特徴を読み取り、
②その特徴が何を意味しているのか具体的に考える
情報収集の際、MECE(ミッシー)という概念があります。これはつまり、
「モレなく、ダブりなく」ということです。
情報の「モレ」→判断ミスが起きやすくなる
「ダブり」→思考のムダになったり、混乱する。
こういったことを防ぐために有効です。
思考
「「考える」とは、まず考える対象となる「課題」があり、
「分析」→「解釈」→「検証」の段階を踏んで、その課題を解決していくプロセスのことです。」(筆者)
まずは課題をはっきりさせなきゃいけないんですね。
分析
調べた情報を細かい要素に分け、性質・構成をはっきりさせる。
「なぜ?」「どのように?」と細かく分解していき、利益、リスク・コストを一覧化。
MECEを使い、モレ、ダブりがないように分解する。
↓
解釈
3つのやり方を行う。
①言葉の定義→課題に対する考え方が説得的になる
②抽象化=共通要素を抽出する。分析とは逆の考え方。
③判断→事実をもとに自分の知識・経験・価値観から意味を引き出す。新たな発見を得る。
↓
検証
調べてきた内容が、相手にとって説得的になっているか確かめる。
①目的にあっているか=脱線していないか
②実現可能か
③根拠があるか→因果関係を示すor判断材料となった事実を示す
思考力を鍛える
対比思考
複数の事柄を比べて考え、特徴をはっきりさせる
筆者の考えと自分の考えとの「共通点」と「違い」を意識しながら読む
客観的解釈
物語を読むとき、感情移入して主観的解釈をしない。
情報を収集・整理し、それをもとに内容を論理的に解釈する。
伝達
把握と思考があってこそ、論理的に伝えることができる。
ルールと型
ルール:相手に伝わるように話す。
型 :結論→説明→結論(イントロダクション→ボディ→コンクルージョン)
(結論から話し、理由を後に述べる。)
ポイント
- 立場を示す
- 事実と感情を分ける
- 相手の状況を理解する 立場・状況 + 気持ち・ニーズ
- 提案したい場合 目的の一致 + 相手にとっての価値
つまり客観性が大切ということですね。
まとめ
- 論理的に伝えるには、把握→思考→伝達のステップを踏む。
- 情報の把握・解釈には具体と抽象を行ったり来たりすることが重要である。
- 図表の活用が有効である。
- 伝達には把握・思考に基づく客観性が欠かせない。
国語の力がそのまま論理力であることが分かりました。図表の話が出てきたときに、「これって数学でも使うじゃん!」と思ったのですが、それぞれの学問の根底にある論理展開は共通しているということを実感しました。じつはこの本には、巻末に難関中学の入試問題がついているのですが、やはり難しかったですね。この本を読んですぐ論理力が身につくということはありません。あくまでも道筋を示してくれたに過ぎず、ワークなどで練習するのがいいかと思います。本屋に売ってました。また、MECEは論理的思考法の基本なだけでなく、ビジネスの様々なシーンで使われる言葉らしいので、覚えておきたいと思いました。
閲覧ありがとうございました。それではまた。